2017年7月5日水曜日

トルストイの印度寓話09『倉の下の鼠』

トルストイ少年少女読本[3] 子供の智恵 米川正夫 訳 河出書房 1946 昭和21年

トルストイの印度寓話09『倉の下の鼠』
  一匹の鼠が倉の下に棲んでゐました。倉の床に小さな穴が明いてゐて、そこから穀粒がこぼれるので、鼠の暮しは楽なものでした。けれど、その暮らしを自慢し たくなつたので、穴を大きく明けて、ほかの鼠を呼び集めました。
  『さあ、僕のところへ遊びに来たまへ、餌はみんなに充分なだけあるから。』鼠が友達を連れて来て見ると、穴はまるつきり無くなつてゐまし た。百姓が、床に大きな穴が明いてゐるのを見つけて、ふさいでしまつたのです。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1169127/11

露国民衆文学全書 第三編 ろしあ童話集  昇曙夢(のぼりしょうむ) 大倉書店 1919 大正8年
ろしあ童話集トルストイ物語09『穀倉の鼠』 [穀倉(こくさう)]

春陽堂少年文庫 トルストイ童話集 昇曙夢 1932 昭和7年
トルストイ童話集童話篇09『穀倉の鼠』  [穀倉(こくぐら)]
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1168514/9

The Complete Works of Count Tolstoy Volume XII.
Fables for Children 1869-1872
by Count Lev N. Tolstoy
Translated from the Original Russian and edited by Leo Wiener
Assistant Professor of Slavic Langauages at Harvard University
Boston Dana Estes & Company Publishers
II. ADAPTATIONS AND IMITATIONS OF HINDOO FABLES

9.THE MOUSE UNDER THE GRANARY
A Mouse was living under the granary. In the floor of the granary there was a little hole, and the grain fell down through it. The Mouse had an easy life of it, but she wanted to brag of her ease: she gnawed a larger hole in the floor, and invited other mice.
"Come to a feast with me," said she; "there will be plenty to eat for everybody."
When she brought the mice, she saw there was no hole. The peasant had noticed the big hole in the floor, and had stopped it up.
https://archive.org/stream/completeworksofc12tols?ui=embed#page/22/mode/2up


・類話
レフ・トルストイ  アリとハト やまむらゆき 訳  新読書社
トルストイのアリとハト1.12『太りすぎたネズミ』
(トルストイのアーズブカ016『よくばりなネズミ』 )
 ネズミが、がりがりゆかをかじったので、ゆかにわれめができました。われめをとおって行くと、たくさんのたべものがみつかりました。くいしんぼうのネズ ミは、がつがつたべました。あまりたくさんたべたので、おなかがいっぱいにふくらんでしまいました。お昼になったので、ネズミは家にかえろうとしました。 でも、おなかがふくれているので、われめをとおるこがができませんでした。

タウンゼント134『腹の膨れたキツネ』
 腹ぺこキツネは、ヒツジ飼が、カシの木のうろに忘れていった、パンと肉を見つけると、その穴に這い入って、たらふく食べた。しかし、すっかり食べてしま うと、腹がぱんぱんに膨れて、そこから抜け出せなくなっていた。
 キツネがこの不運を嘆き悲しんでいると、その声を聞きつけて、仲間のキツネがやってきた。そして、事の次第を知ってこう言った。
「まあ、そう嘆きなさんな。入った時と同じ姿になれば、簡単に出られるさ」

Pe24『腹のふくれた狐』 Type41* TMI.K1022.1
Ch30 Ba86 エソポ2.24 Laf3.17 (Aesop)


タウンゼント92『漁師と網』
 腕のよい漁師が上手に網を投じて、魚を一網打尽にした。そして、熟練した網さばきで、大きな魚を残らず岸壁まで曳き上げた。
 しかしさしもの漁師も、小魚が、網の目をすり抜けるのは如何ともし難かった。

危機に際しては小物の方が安全である。

Pe282『漁師と魚』 Type253 TMI.L331
Ch25 Ba4  (Ba)


ト ルストイの印度寓話対照表
トルストイの アーズブカ対照表
トルストイの アリとハト対照表