2017年7月3日月曜日

トルストイの印度寓話06『牛乳』

トルストイ少年少女読本[3] 子供の智恵  米川正夫訳 河出書房 1946 昭和21年
トルストイの印度寓話06『牛乳』
(トルストイのアーズブカ090『雌牛のお乳』 )
 或る人が一匹の牝牛を持つてゐました。それは毎日、壺いつぱいの牛乳を出すのでした。或るとき客をすることになりましたが、いつもより余計に牛乳を搾ら うと思つて、男は十日間その牝牛を搾りませんでした。十日間うつちやつておいたら、壺十杯の牛乳が搾れると思つたからです。
 けれど、牝牛の体の中で牛乳が焼けてしまつたので、却つていつもよりぽつちりしか搾れませんでした。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1169127/9

露国民衆文学全書 第三編 ろしあ童話集  昇曙夢(のぼりしょうむ) 大倉書店 1919 大正8年
ろしあ童話集トルストイ物語06『牛乳』

春陽堂少年文庫 トルストイ童話集 昇曙夢(のぼりしょうむ) 1932 昭和7年
トルストイ童話集童話篇06『牛乳』
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1168514/9

The Complete Works of Count Tolstoy Volume XII.
Fables for Children 1869-1872
by Count Lev N. Tolstoy
Translated from the Original Russian and edited by Leo Wiener
Assistant Professor of Slavic Langauages at Harvard University
Boston Dana Estes & Company Publishers
II. ADAPTATIONS AND IMITATIONS OF HINDOO FABLES

6.THE MILCH COW
  A Man had a Cow; she gave each day a pot full of milk. The Man invited a number of guests. To have as much milk as possible, he did not milk the Cow for ten days. He thought that on the tenth day the Cow would give him ten pitchers of milk.
But the Cow's milk went back, and she gave less milk than before.
https://archive.org/stream/completeworksofc12tols?ui=embed#page/20/mode/2up


仏典

昭和新纂 国訳大蔵経 経典部 第二巻 東方書院

百喩経1.02『愚人集牛乳喩』
愚人牛乳を集むるの喩
 昔愚人有り、将(まさ)に賓客に会(ゑ)せんとし、牛乳(ごにう)を集めて以て供設(くせつ)に擬せんと欲して、是(この)念を作(な)さく、『我今若 し予め日日中(にちにちちう)に於て、牛乳(ごにう)をこく取(こくしゆ)せば、牛乳漸く多く卒(つひ)に安処(あんじよ) 無く、或は復(また)酢敗(そはい)せん。如(し)かず、即ち牛腹(ごふく)に就いて之を盛り、会時(ゑじ)に待臨(たいりん)して、当(まさ)に頓(と み)にこく取すべし。』是念を作(な)し已(をは)つて便(すなは)ち牸牛(じご)の母子(もし)を捉へ、各(おの/ \)異処に繋げり。却後(きやくご)一月、爾乃(すなは)ち会(ゑ)を設けて賓客を迎置(ぎやうち)し、方(まさ)に牛を牽(ひ)いて来り乳をこく取(こくしゆ)せんと欲するに、此牛の乳即ち乾いて有ること無し。時に衆賓(しゆひん)或は瞋(いか)り或 は笑ふを為す。
  愚人も亦(また)爾(しか)り、布施を修せんと欲して、方(まさ)に言はく、『我大有(だいう)の時を待ちて、然る後頓(とみ)に施さん。』と。未だ 聚(あつ)むるに及ばざる頃(とき)、或は県官水火盗賊(けんくわんすゐくわたうぞく)に侵奪'(しんだつ)せられ、或は卒(つひ)に命終(みやうじう) して時施(じせ)に及ばず。彼も亦是(かく)の如し。

世界文学大系 4 インド集 筑摩書房
カーター・サリット・サーガラ 愚者物語 岩本裕 訳
インド愚者物語11『乳搾りを倹約した男の話』


類話

トルストイのアーズブカ089『おかみさんとニワトリ』
トルストイのアリとハト2.07『おかみさんとメンドリ』
トルストイのイソップ寓話08『おかみさんとメンドリ』

The Complete Works of Count Tolstoy Volume XII.
Fables for Children 1869-1872
by Count Lev N. Tolstoy
Translated from the Original Russian and edited by Leo Wiener
Assistant Professor of Slavic Langauages at Harvard University
Boston Dana Estes & Company Publishers
I.AESOP'S FABLES

8.THE WOMAN AND THE HEN
  A Hen laid an egg each day. The Mistress thought that if she gave her
more to eat, she would lay twice as much. So she did. The Hen grew fat
and stopped laying.
https://archive.org/stream/completeworksofc12tols?ui=embed#page/4/mode/2up

タウンゼント168.女将とメンドリ
 ある女将が、毎日卵を一つ産むメンドリを持っていた。彼女は、一度に二つの卵を手に入れるにはどうすればよいかと、あれこれ考えた。そして、メンドリに 二倍の大麦を与えることにした。
 それ以来、メンドリは太り、羽毛もつやつやした。しかし、メンドリは一度に二つの卵を産むことはなかった。

Pe58『女と雌鶏』 TMI.J1901.1 昔話インデックス76『竜宮犬』, 257『母の猫』
Ch90 Charles99  (Aesop)


ト ルストイの印度寓話対照表
トルストイの アーズブカ対照表
トルストイの アリとハト対照表